「知財管理」誌
Vol.57 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 57巻(2007年) / 1号 / 77頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許法第30条の「刊行物に発表し」についての実務的考察 |
著者 | 堀進 |
抄録 | 特許法第30条に規定する発明の新規性喪失の例外は、基本的な特許要件に関わる重要な制度であるが、実務は特許庁における運用に委ねられており、その運用及び規定の解釈に関する判決例は、他の特許要件に比べて大変少ない。そこで、同規定の運用及び解釈に関して、特許庁の審判では、どのような判断が示されているかを検討し、実務上の問題点を探ると共に今後望まれる運用の提言を試みた。 今回の検討の結果、同条第1項の「刊行物に発表し」に関し、刊行物の配布後にその刊行物内容の口頭発表がなされた場合において、最先の刊行物配布という公表行為と相互に密接不可分の関係にある後の口頭発表とは、一体のものとして取り扱うこととし、最先の刊行物配布という公表行為が新規性喪失の例外規定の適用対象であって、それを証明する書面を提出する限り、他の密接不可分な後の口頭発表については、同規定の適用対象であるか否かを問わないとの運用が望ましいと考える。 |