「知財管理」誌
Vol.57 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 57巻(2007年) / 1号 / 65頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | Grace Periodの世界統一に関する考察と提言 |
著者 | 特許第1委員会第4小委員会 |
抄録 | WIPO特許法常設委員会(SCP)では各国特許法の実体的側面での制度調和が模索・検討されているが、2005年5月から先進国間で先行技術関連4項目[先行技術の定義、Grace Period(GP)、新規性、進歩性]に絞って制度調和のための先行的検討が開始された。しかし、4項目のうちGPは意見の対立が際立ち、GPの統一は根深い問題を孕んでいるようであった。また、平成16年度及び平成17年度に7知的財産研究所において分割出願制度に関連してGPについてアンケート調査がなされたが、GPに関する意見は分かれていた。 そこで、特許第1委員会第4小委員会ではこの統一GPについて生じる問題点を中心に検討した。その結果、各国政府が知的財産を産業政策に取り入れ、世界中で特許を知らない人の方が稀になったと思われる現在、場合によってはGPの統一によって生ずる法的安定性の低下、産業界の混乱等が無視できないこともあると思われた。本稿は統一GPによって生じうる問題点を種々示すと共に、米国の先願主義移行を含む国際的な特許制度調和実現の中で上記問題点を極力回避するための統一GPの条件にも言及する。 |