「知財管理」誌
Vol.57 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 57巻(2007年) / 11号 / 1795頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.346) |
論文名 | No.346 無効審判における商標法第8条2項及び5項の解釈―商標「がんばれ!受験生」事件― |
著者 | 大野義也 |
抄録 | 商標法8条2項及び5項は、類似関係にある複数の商標登録出願が同日に行われた場合、出願人の協議又は「くじ」により定めた一の出願人のみが商標登録を受けることができると規定する。 また、同4項は、同日出願の事実を出願人に知らせ、協議を促すために、特許庁長官が出願人に対し協議の結果を届け出るよう命じることを定めている。ところが、本事案では、同日出願にかかる商標登録出願「がんばれ!受験生」及び「ガンバレ!受験生」が、商標法8条4項に定める協議命令の手続を欠いたまま(したがって、両出願人間で協議や「くじ」の手続が行われることもなく)、双方登録された。かかる協議の手続を欠いた重複登録は、商標法8条2項及び5項の規定に違反し、双方無効とすべきようにも思えるが、審決は、同2項及び5項の規定を限定的に解釈し、これら商標登録は無効理由に該当しないとした。本判決は、かかる原審決を維持し、請求を棄却した。商標法8条2項及び5項について、文理解釈を退け、論理解釈がなされた点で注目に値する判決である。 |