「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 4号 / 615頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 商標権者が品質管理義務を怠り登録商標が抹消された米国事例―Barcamerica v. Tyfield事件― |
著者 | 伊藤知生 |
抄録 | 米国連邦商標法は、商標使用権者の商品・役務の質を商標権者がコントロール(質の均一性保持)する限りにおいて商標使用許諾を認めている。商標権者がそのような義務の履行を怠った場合、登録商標は法的保護を放棄(Abandonment)したものとされ、取消審判請求の対象となる。 本稿は、裁判所が実際にそのような判断を下した事案であるBarcamerica v. Tyfield事件(米国連邦第九巡回控訴裁判所2002年判決)の評釈をとおして、米国における商標使用許諾制度がフランチャイジングなどの現実のビジネスの要請から、判例法上、品質理論(商標は均一な品質を保証する)により出所理論(商標の示す出所はひとつ)を克服することで発展してきたことにつき論じている。 そして、わが国が定める商標使用許諾制度(商標法53条)は、そのような歴史的背景や理論蓄積をもとにして定められたものではないこともあり、商標に対する需要者の信頼保護を欠く部分があることに言及する。 |