「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 2号 / 241頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.325) |
論文名 | No.325 特許庁における判定請求の結果と裁判所における判断とが相違した事案 |
著者 | 恩田博宣 |
抄録 | 本件は、「布団用除湿具」に関する意匠権に基づき、同様の製品を販売した被告に対し損害賠償を求めた事件である。 本件では、 第1に原告意匠と被告意匠とが類似するか否か、第2に本件登録意匠(原告意匠)が無効理由を有するか否か、またそれにより本件請求が権利の濫用にあたるか否かが争点となった。一審判決は、原告意匠と被告意匠とは非類似であると判断し、その余の争点を判断することなく請求を棄却した。なお、別件事件係属中になされた特許庁の判定請求の結果については、鑑定的性質を有するにとどまるものであって、法的効果を有しないものと判示した。同じく控訴審判決も、原告意匠と被告意匠とは非類似であると判断し、控訴を棄却した。筆者としては、結論には賛成であるが、判決理由には類否判断の外に幾つかの問題があり、賛同できない。 本稿では、判決理由における問題点を抽出・解説し、原被告の攻防について言及をすると共に、本件から学ぶ出願戦略について解説する。 |