「知財管理」誌

Vol.56 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 56巻(2006年) / 10号 / 1495頁
論文区分 論説
論文名 米国における最近の非自明性判断の動向
著者 小林一任、中村彰吾
抄録 米国における自明性の判断は日欧における進歩性の判断よりは一般的には緩いといわれている。昨年1月のTeleflex v. KSR事件におけるCAFC判決は、先行技術から自明として特許無効とした地裁の判断であるサマリジャッジメントを取り消している。これに対して、被控訴人のKSRは最高裁に裁量受理するように請願書を提出し、またKSRを支持する団体や政府から最高裁が裁量受理することを願い、CAFC判決を批判するアミカスブリーフが提出された。アミカスブリーフは裁判官に対してある事件について、当事者以外の第三者が意見を提出するものであるが、これらのアミカスブリーフ中で、CAFCの採用している非自明性の判断基準である教示・示唆・動機付けテスト1)(teaching- suggestion - motivation test)によって、自明性の判断基準が低くなりすぎているとの主張がなされている。本稿は、Teleflex v. KSR事件を中心に最近の非自明性判断、特にteaching - suggestion-motivation testの動向について紹介する。教示・示唆・動機付けテストは、最高裁のグラハムテストをCAFCが判例で発展させた非自明性を判断するテストであり、最高裁の判決によっては日本企業にも今後大きな影響を与えるものと思われる。
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