「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 8号 / 1201頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ |
論文名 | No.307 建築物の著作物性 |
著者 | 窪田栄一郎 |
抄録 | 本来、著作権法は文化の発展を目的とするものであるが、近年、同法は産業保護法としての性格を帯びている。しかし、著作権を用いた訴訟によって産業保護を達成するのは容易なことではなく、本判決もそのことを示すよい例である。本判決は、従来の通説的見解に立って、「建築の著作物」として認められるためには単なる創作性を超えた芸術性・美術性を要するとして原告の第1事件における請求を棄却しており、法解釈の観点からは結論としてやむを得ないのかもしれない。しかし、本件のような事例において原告側の請求が認められないことで、正常な商習慣に反する行為が放置されるおそれがあり、立法をも視野に入れて、このような場合の救済を検討すべきであると考えられる。 |