「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 6号 / 875頁 |
論文区分 | 特集(職務発明の相次ぐ巨額対価判決を踏まえて) |
論文名 | 職務発明制度のあり方について |
著者 | 澤井敬史 |
抄録 | 特許法はいうまでもなく産業法であり、その目的は第1条にあるように「産業の発達に寄与すること」である。この特許法の中に、使用者と従業者との法律関係を律する特異の規定が存在する。企業において特許管理の仕事に携わった者であるならば必ず出会う職務発明に関する特許法35条である。ここ数年、この規定に関する世の中の関心が高まり、特に今年に入ってから極めて破格の対価の支払いを命ずる判決が相次いだことから、社会的にも大きな反響を呼んでいる。 しかしながら、実はこの職務発明の問題についてその本質に及んだ議論がきちんとなされたことは殆どなく。特許法第35条の改正法案の方向性を決める産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の段階における議論においてすら、幸か不幸か巨額の対価支払い判決の出る前であったために、職務発明制度のそもそも論が徹底して議論されたとは言いがたい状況にあると筆者は考えている。 そこで本稿においては、産業の発展という原点に立ち戻りかつ企業における経済活動のメカニズムと実状に立脚して、職務発明制度のあり方をどのような視点に立って考えるべきかについて考察し、併せて企業における職務発明の管理の方向性についても言及する。 |