「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 5号 / 737頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 法人化を迎える京都大学における産学官連携の特徴―知的財産の取組みを中心に― |
著者 | 奥久輝 |
抄録 | 京都大学では、従来真理の追求と純粋学問に教育・研究の重点が置かれ、「産学官連携」という面では、必ずしも十分な取組みがなされてきたとは言えないが、近年、社会との連携・社会への貢献を目指して、産学官連携体制を充実させている。 京都大学は、事務局としての「研究協力部」を主体として各部局・地区の事務部が密接に関与する体制を有し、この体制下に、産学官連携の取組みを行う専門の組織を有している。 特に、京都大学国際融合創造センター(京大IICInternational Innovation Center)は、産学官連携活動の部局横断的かつ一元的窓口として位置付けられ、その活動の特徴的な取組み事例としては、1)包括的産学融合アライアンス、2)学内公募による包括的共同研究、3)フィージビリティスタディ(feasibility study、事業性調査)方式によるベンチャー起業促進、4)医工連携プロジェクトなどが挙げられる。 京都大学の産学官連携活動の共通的特徴としては、1)契約の柔軟な対応、2)産学官連携と知財の一元管理、3)機密・知的財産の組織的管理、を挙げることができる。 また、京都大学では、法人化に向けて、「京都大学知的財産ポリシー」を作成し、発明の原則機関帰属など、知的財産の推進・管理の基本的な考え方を明確にしている。 京都大学は、さらなる産学官連携活動のための組織改革構想や、大学を核としたイノベーション創出構想を有し、新しい形の産学官連携も視野に入れている。 |