「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 12号 / 1751頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許法102条1項の解釈についての一考察 |
著者 | 牧山皓一 |
抄録 | 平成10年改正法で新設された特許法102条1項は、民法第709条に基づき侵害により生じた逸失利益の損害の賠償を請求する場合の算定ルールを定めるものである。侵害品が譲渡されたことにより権利者に生じる損害としては、(1)販売数量減少による損害、(2)値下げを余儀なくされたことによる損害などがある。この規定は、このうち、実際の訴訟における請求事例の大部分を占める(1)の損害の算定ルールを規定している。特許権等の侵害により生じた損害(逸失利益)の立証を容易にし、損害の適正な補償を可能にすることが本項新設の目的である。本稿では、新設された102条1項により損害の適正な補償が可能になったのかを裁判例により検証する。また、裁判実務における各論点及び各論点についての学説を紹介する。さらに、102条1項の解釈について若干の考察を行うことにする |