「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 11号 / 1613頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 生命科学分野の特許発明に関する試験研究の実施を担保する環境 |
著者 | 石埜正穂 |
抄録 | 遺伝子やタンパク質などの生命体を構成する物質やその関連技術については、本質が不明なままの状態であっても強力な物質特許が成立する。このような特許は、数多くの重要な用途発明の対象となる潜在性を秘めているばかりでなく、医療等の進歩のため、特許の対象物そのものにつき、さらなる基礎的研究の蓄積が必要とされる。従って、これら生体物質に関する研究が特許保持者によって阻まれれば、医療等の技術の発展に対して基礎・応用両面に及ぶ広く深刻な影響がもたらされるおそれがあり、それらの研究に特に配慮した施策が急務といえる。本稿では、日本の特許法69条1項や米国NIH(米国国立衛生研究所)型の「マテリアル」の移転について、特許発明の保護および実施の側面から比較検討を行いそれらの問題点と利点について整理しつつ、生命科学分野の研究環境を適切に担保する手段について考察する。 |