「知財管理」誌
Vol.54 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 54巻(2004年) / 10号 / 1485頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ |
論文名 | No.309 外国特許権侵害事件の国際裁判管轄・準拠法・文言侵害・均等侵害・不正競争防止法違反―フェスト最高裁判決を適用した東京地裁判決の意義及び今後の展望― |
著者 | 阿部隆徳 |
抄録 | 米国特許権侵害を理由として米国裁判所へ訴訟を提起する旨の警告状が送付されてきた場合、従来は米国裁判所で争うものと考えられてきた。しかし、その米国特許権者が日本に本店を有する日本法人である場合には、被疑侵害者は、日本で先制的に、米国特許に基づく差止請求権不存在確認請求訴訟を提起することが認められた。これは、米国法上のDeclaratory Judgment(宣言的判決、以下「DJ」)を日本で提起することが認められたに等しいものである。米国で争うよりも日本で争う方が有利な場合が多いので、被疑侵害者はまず日本でこのような訴訟を試みるべきである。日本の裁判所の判決が米国で当然に承認されるという法的な保証はないが、日本で特許権非侵害との判断が十分な理由つきで行われれば、事実上米国特許権者の米国での訴訟を阻止しることが可能であろう。他方、米国特許権者は今後、米国訴訟提起の準備をしないで安易に警告状を送付すると日本でDJを起こされてしまうので、米国での訴訟の方が有利と判断した場合には、警告状送付後一定期間経過後には、すぐに米国裁判所に訴訟提起できる準備をしておくことが肝要である。 |