「知財管理」誌

Vol.53 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 53巻(2003年) / 12号 / 1877頁
論文区分 論説
論文名 揺れ動く米国バイオテクノロジー特許の記載要件
著者 バイオテクノロジー委員会第2小委員会
抄録 米国特許法第112条第1パラグラフにおける記載要件は、従来、発明日の遡及(Priority)の問題の検証にのみに適用されてきた。しかし、1997年のLilly事件において、CAFCは、記載要件の問題はクレーム表現に対する明細書中の文言サポートの有無の問題でもある。とはじめて判断し、またUSPTOはこの判決に従い記載要件のガイドラインを改訂した。本稿で取り上げたEnzo事件は、バイオテクノロジー特許における新たな記載要件の取扱いに関する第2の事件である。この事件においてCAFCは、最初の判決で記載要件が満たされず特許無効と判断したが、わずか3ヶ月後の再審判決では同じ判事が記載要件は満たされると判断した。本稿では、この判決を引用し記載要件に対する各判事の考え方の違いを紹介する。この事件が示すように、新たな記載要件の取扱いについてのCAFCの判断は、いまだ確立した基準がなく揺れ動いている状態にある。
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