「知財管理」誌

Vol.50 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 50巻(2000年) / 10号 / 1527頁
論文区分 論説
論文名 プロパテント時代における紛争対応のあり方
著者 知的財産管理委員会第2小委員会
抄録 プロパテントの流れの中で、民事訴訟法や特許法が改正され、特許庁の施策、裁判所の訴訟進行、判例等においても保護強化が図られ、特許の訴訟、紛争も増加している。今後の展開を予想し、それに対する企業の対応、ならびに、紛争のより適切な解決のために社会的、人的インフラをどのようにすべきかについて提言を試みた。プロパテントは、特許の保護が強化され、権利付与、司法判断が迅速化され、発明意欲が増進されることが期待される反面、紛争の増加、専門家の不足、損害賠償額の高騰などの副作用も懸念される。また、企業にとっては、自社権利活用の機会の拡大と共に他者からの権利行使によるリスクの増大にもなる。従って、企業としては、権利の活用と防御の両面からの対応、対策が必要であり、適切な紛争解決のためには、司法制度や研究、教育システムの整備等、社会的インフラの整備および裁判官、弁護士、弁理士等の人的インフラにおける質、量の充実が望まれる。また、人的インフラの質の充実には、試験制度、研修の充実のみならず、有能で実務経験豊富な企業実務家を裁判所内外の訴訟その他の紛争解決実務に参画させ、若い裁判官、弁護士、弁理士と共同作業をして、OJTを通じた人材育成をすることも効果的である。
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