「知財管理」誌

Vol.48 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 48巻(1998年) / 5号 / 671頁
論文区分 判例と実務シリーズ
論文名 No.239 キャラクターの保護期間―ポパイ事件最高裁判決―
著者 牛田利治
抄録 ポパイやサザエさんなどのいわゆるキャラクターについては、キャラクター自体に著作物性があるのかどうか、という問題があった。またキャラクターが個々の連載漫画の著作権により保護されるとすれば、訴訟において、依拠された個々の漫画の特定を要するのか、キャラクターのみの使用で個々の漫画の複製と言えるのか、キャラクターの保護期間と著作権の保護期間の関係はどうかなどの論点がある。本件裁高裁判決は、キャラクターの著作物性を否定し、一話完結形式の漫画の場合、個々の漫画毎に著作権侵害を検討すべきであるとした。そして、後続の漫画に登場する人物が、先行する漫画に登場する人物と同一と認められる限り、当該登場人物については、最初に掲載された漫画の著作権の保護期間によるべきものであって、その保護期間が満了して著作権が消滅した場合には、後続の漫画の著作権がいまだ満了していないとしても、もはや著作権侵害を主張することができないとした。本件裁高裁判決は、下級審判決の判断を変更したものであり、実務に対する影響は極めて大きいと思われる。
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