「知財管理」誌

Vol.48 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 48巻(1998年) / 11号 / 1775頁
論文区分 特集(広く強い権利とその保護について)
論文名 均等論適用に関する動向と今後の特許発明の保護 ―上告審判決が今後に与える影響―
著者 熊谷健一
抄録 均等論適用の是非及び均等論適用の要件について我が国の最高裁がはじめて実質的な判断を示した判決であるボールスプライン軸受事件の上告審判決においては、結論的には破棄差戻しと判断されたため、当該事件に対する具体的判断はなされなかった。しかしながら、上告審判決においては、均等論の適用を明確に肯定するとともに、その要件についても、特許発明の特許請求の範囲の記載と侵害とされる対象製品との間に差異が存在する場合、(1)その差異が特許発明の本質的部分ではないこと、(2)作用効果が同一であること、(3)対象製品の製造時(侵害時)において置換が容易である(容易に想到できる)こと、(4)対象製品が出願時の公知技術と同一又は公知技術から容易に推考できたものではないこと、(5)出願経過禁反言等の特段の事情がないことの5つの要件を具体的に判示していることから、今後の侵害事件に与える影響は少なくない。
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