「知財管理」誌

Vol.46 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 46巻(1996年) / 6号 / 987頁
論文区分 資料
論文名 アジア諸国で生まれた発明の取扱い上の留意点
著者 国際委員会第1小委員会
抄録 近年日本企業の活動のグローバル化が著しく進展し、単なる現地生産のみならず、研究開発部門も海外に設立する企業が増加している。このような海外での研究開発活動の結果、現地の子会社、あるいは研究機関で多くの発明が生まれることが期待されるため、グローバル化していく企業にとって現地で生まれた発明の取り扱いに関して留意点を明らかにし、明確な取り扱い方針を定めておくことが必要となって来る。このような背景のもとに、既に米国、ヨーロッパ及びアジア(中国、台湾、韓国)でなされた現地発明の取扱い上の留意点について平成7年本誌1月号で報告がなされている。本稿では前回に続いて、更にアジア6カ国(タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、香港、インド)でなされた現地発明の取扱い上の留意点について調査・検討したので、その結果を報告する。今回とり上げた国々の多くにおいては、日本企業の発明活動が活発化するのはまだ先のことになると思われるが、これらの国は現在経済的に急成長の過程にあり、日本企業にとっても単なる市場としてのみならず、生産国としても重要な役割を果たしつつある。従って近い将来、日本企業にとって研究開発の拠点として発展していくことが十分予想される。現地発明の取り扱いについては特に、欧米の先進国において種々の規程が存在し、本調査においてはこれら先進国の規程を念頭において調査項目を定め検討した。すなわち、(1)発明が現地で生まれたときに技術情報として他国へ輸出・開示する場合の国家機密等に関連した規制の有無、(2)このような発明を現地において最先に出願する義務があるかどうか、(3)従業員のなした発明を職務発明として雇用契約等により雇用者に帰属させる場合の問題、(4)現地会社の発明を他国の会社に移転する場合の対価等の問題、及び(5)発明者が現地人である場合を考慮して出願言語について調査し、留意点として各国ごとにとりまとめた。なお今回の調査結果に前回報告された中国、台湾、韓国の調査結果を加え、要約して一覧表にまとめておいた。
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