「知財管理」誌

Vol.46 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 46巻(1996年) / 10号 / 1651頁
論文区分 資料
論文名 明細書の補正(その1) ―新規事項の取り扱いについて―
著者 特許委員会第1小委員会
抄録 平成6年1月1日より施行された改正特許法(平成5年改正法)は、“補正の範囲の適正化を図る”という目的のもとに、『明細書又は図面の補正は、出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない』と補正による新規事項の追加を禁止する規定を取り入れたことが最大の特徴である。そして、その運用に関して特許庁からガイドライン、運用指針並びに事例集が公表されている。当委員会においては、本法改正について研究する一方、特許庁から提示されたガイドライン及び運用指針の骨子案並びに草案について詳細な検討を加え、必要により特許庁に対し意見・要望を具申してきた。今回の法改正により新たに導入された新規事項追加禁止の規定は、これまでの補正の運用を大きく変えようとするもので、実務面への影響が大きく、企業の特許担当者である当委員会メンバーにおいても少なからず戸惑いがあるのが実情と言えよう。本法改正に伴い成作された「明細書及び図面の補正の運用指針」では、“直接的かつ一義的に導き出せる”場合を除き新規事項として取り扱うと規定されており、また、各技術分野における新規事項の判断に関する理解をより一層深めるための具体的な事例として、「明細書及び図面の補正に関する事例集」が特許庁から公表されている。しかし、この事例集中の“新規事項の判断に関する事例”として示された事例は、補正内容が当初明細書に文字通り記載されている事例若しくは全く記載されていない事例のみが紹介されているにすぎない。そこで、当委員会補正検討ワーキンググループでは、国際的ハーモナイゼーションの観点から諸外国、とりわけ欧米での新規事項の取扱いについて調査することが、本改正法に対応して実務を行う上で有意義なことと考え、まず、日米欧三極の法条文から補正・訂正にかかわる規定振りについて調査、項目別に分類して『明細書、クレーム、図面の補正に係る法条文の項目別比較表』(付表)としてまとめ、その上で、欧州特許庁における審決について調査を行った。
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