国際活動

五極特許庁・ユーザ会合、三極ユーザ会合等への参加報告

 2023年6月12日〜15日、米国ハワイ州ホノルルにて開催された三極ユーザ会合(Industry Trilateral Meeting)、5極ユーザ会合(IP5 Industry Meeting)および五極特許庁・ユーザ会合(IP5 Heads of Office with Industry Meeting)に、下川原理事長、国際政策WGの田中リーダー、宮下、大塚、寒川が参加しました。また、五極特許庁・ユーザ会合のサイドイベントとして、Sustainable Innovation Dialogが開催(14日)され、下川原理事長がパネリストとして登壇しました。  
 三極ユーザ会合では、B+サブグループ(先進国特許庁グループ)にて継続検討されている、実体面での特許制度調和の各項目につき議論が行われました。
 また五極特許庁・ユーザ会合においては、日米欧中韓の特許庁 およびWIPOとの間で、気候変動抑制に向けて五極特許庁(IP5)が進める取り組みなど、様々なテーマに関して議論を行いました。  
 これらの会合では、幅広い主題に関する活発な討議が行われ、参加者は制度調和、ユーザの利便性向上や審査品質の向上に向け、日本のユーザを代表して積極的に議論に参加し、意見・要望を発信しました。
  1. 五極ユーザ会合(6月12(午後)、13(午後))
     日米欧韓中の五極ユーザ団体(JIPA、AIPLA、IPO、Business Europe、KINPA、PPAC)の代表者が集まり、五極特許庁・ユーザ会合に向けて、各国ユーザ団体からの意見を集約して五極ユーザのワンボイスとして発信する内容のすり合わせ、各団体から提言する事項の確認を行いました。
     JIPAからは、特許出願における図面様式統一、五極ユーザ会合のプロジェクト管理、気候変動抑制に向けた提言について報告並びに説明を行い、他国ユーザ団体の賛同が得られました。
     また、他国のユーザ団体とも個別に交流することができ、これまで同様、今後の政策統一に向けた強固な協力体制を継続させることができました。
  2. サイドイベント(6月13(午前))
     5大特許庁長官・ユーザ会議のサブイベントとして、” Sustainable Innovation Dialogue”と題した会合が開催されました。本会合では、5大特許庁長官による講演の他、各国のステークスホルダーによる講演や討論が行われ、気候変動に関する技術革新に対する知的財産の役割について、活発な議論が行われました。
     JIPAからは下川原理事長もパネリストとして登壇し、WIPOグリーン活動をはじめとして、気候変動に関する企業の取り組みについての紹介を行いました。また、現地ハワイの企業Shifted EnergyのCTOなども登壇し、気候変動抑制に関する取り組みなどの紹介がありました。
  3. 五大特許庁・ユーザ会合(6月14日)
     日米欧中韓の各特許庁(五大特許庁:IP5)およびWIPOと五極ユーザとにより、種々の施策や品質に関し、意見交換が行われました。今回の会議は、ホスト地域であるUSPTOビダル長官が議長を務め、主に以下のような議題について議事が進められました。

    ■Technical Cooperation

    • E-signature
      ユーザ団体を代表して宮下PJメンバーからE-signatureに関するユーザ提案について詳細な説明が行われました。
    • NET/AI
      AIに関連する審査の調和に向けて、ユーザとして特に関心のあるイシューの提示、提示されたイシューから5庁が取り組むイシューの選択、仮想事例などを利用した選択イシューの5庁比較研究など、ステップバイステップアプローチで進めることの提案がユーザ団体の総意として行われました。
    • PHEP
      図面様式の統一に向けて5庁の取り組みに対する謝意、及び、カラー図面を利用した出願の受付の許容についてのユーザの強い期待についてJIPAから紹介がありました。
    • IP5 Project Update(Classification, Global Dossier)
      ユーザ団体から出願時のフォーマット変換による生じ得るエラーのリカバリーを可能とすべく、PDFの同時提出によるインコーポレーションについて提案がなされました。
    • PMG IP5 Project manager
      JIPAからの提案により5極ユーザの総意として、フォームに従った5極ユーザからの新規PJなどの提案の処理プロセスの明確化について要望が示されました。

    ■Strategic Topic: Leveraging the Resources of the IP5 Offices and the IP5 Industry Groups by Strengthening Cooperation on Climate Change
     JPOからGXTIについての紹介がなされ、これに応える形でJIPAからGXTIの利活用状況についてJIPAの専門委員会でのアンケート結果について共有が行われました。また、JIPAから気候変動の抑制に向けて、WIPOグリーンの活動のIP5への拡張、技術とソリューションの橋渡しをJIPAなどのユーザ団体が担う案、気候変動関連のAwardなどによるインセンティブの確保、各庁の特許DBへのAward受賞履歴の追加による環境貢献企業・発明者のハイライトについて提案が行われました。
    • Future work with the IP5 Industry Groups
      ユーザから本会合の総括として今後のIP5へのユーザの協力について紹介がありました。
    • IP5 Vision Statement
      近年のIP5の取り組み状況を踏まえ、IP5のビジョンステートメントのアップデート案が5庁より提示され、ユーザからも修正案が提案されました。
     なお、お昼の時間にはランチセッションが開催され、インクルーシブイノベーションに関して、IPOの取り組み及びDiversity in Innovation toolkitの紹介があり、また、AIPLAからもDE&I initiativesの取り組みについて紹介がありました。
  4. 三極ユーザ会合(6月15日(午前))
     日米欧の三極ユーザ団体(JIPA、AIPLA、IPO、Business Europe)が集まり、B+サブグループ(カナダ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、日本、韓国、スペイン、イギリス、アメリカ、EPOの各特許庁から構成されるグループ)において検討が進められている実体面での特許制度の調和について、議論が行われました。特に、グレースピリオド(日本における新規性喪失の例外規定)について、制度調和に向けて活発に議論が行われまIPした。
     実体面での特許制度調和について、引き続き、オンラインにて、B+会合での発信内容について議論が行われることが合意されました。
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