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国際活動
WIPO ハーグ作業部会(第9回)への委員参加
2020年12月14日(月)から12月15日(火)(当初の予定は12月14日(月)〜16日(水))に、スイス、ジュネーブのWIPOにおいて第9回ハーグ作業部会が開催されました。この作業部会は年に1回開催される国際会議で、意匠の国際登録制度の改善のために必要な共通規則や実施規則の改正に関する議論が行われる場となります。なお、今回は世界各国の新型コロナウイルス流行の状況を鑑み、Webでの参加が可能なハイブリット型での開催となっております。
今回、ハーグ協定及び同ジュネーブ改正協定締約国74カ国のうち31カ国および非加盟国26カ国の政府代表団、8つのユーザ団体が会議に参加しました。日本からは日本特許庁、オブザーバーとして日本弁理士会、日本知的財産協会(以下JIPA)が参加しました。2015年に日本国がハーグ協定に加盟して以降、日本特許庁が正式参加しており、JIPAとしては前回に引き続き2度目で、意匠委員会の大久保賢一郎副委員長(富士通)、大倉桂子副委員長(パナソニック)、石井秀賢委員(ソニー・インタラクティブエンターテイメント)の3名が参加しました。
本年度は、「国際公表時期の延長および即時公表制度の導入」、「コロナ禍の救済手段」、「新たな言語の追加」、「料金の改定」が議題となりました。
議題の概要は下記の通りです。
今回、ハーグ協定及び同ジュネーブ改正協定締約国74カ国のうち31カ国および非加盟国26カ国の政府代表団、8つのユーザ団体が会議に参加しました。日本からは日本特許庁、オブザーバーとして日本弁理士会、日本知的財産協会(以下JIPA)が参加しました。2015年に日本国がハーグ協定に加盟して以降、日本特許庁が正式参加しており、JIPAとしては前回に引き続き2度目で、意匠委員会の大久保賢一郎副委員長(富士通)、大倉桂子副委員長(パナソニック)、石井秀賢委員(ソニー・インタラクティブエンターテイメント)の3名が参加しました。
本年度は、「国際公表時期の延長および即時公表制度の導入」、「コロナ禍の救済手段」、「新たな言語の追加」、「料金の改定」が議題となりました。
議題の概要は下記の通りです。
- 国際公表時期の延長および即時公表制度の導入
現行の規則においては、国際公表のタイミングは国際登録から6ヶ月です。しかし、現行の6ヶ月ですと、デザイン決定から製品発表までの期間が長い分野では、デザイン決定後に早いタイミングで出願した場合、出願した内容が登録公報により公表されてしまい、新製品の目新しさが失われたり、または買い控えが行われたりと、マーケット戦略に大きな影響を与えています。前回の作業部会では、国際公表時期を現行から更に6ヶ月延長する12ヶ月案について、JIPAから強く支持する旨の発言をし、加えて、12ヶ月案が採用された場合、出願後にすぐに権利化したいユーザにとってはデメリットになる可能性もあるため、出願時にのみ限られていた即時公表の請求を出願後にも可能とする仕組みを併せて導入することを要求しました。しかしながら、特定の国からの支持を得ることができず、次回以降も継続検討を行い、同時に、どの程度のユーザが賛成なのか各国のユーザアンケートを行うことに決定いたしました。
今回ですが、上記決定に基づき本作業部会が開催される数ヶ月前に実施された、国際公表時期の延長および即時公表制度の導入に関するユーザアンケートに関する報告が行なわれました。結果的に、好意的な意見が多数を占めていたとのWIPO事務局からのフィードバックを踏まえ、議場で検討がなされました。各国特許庁が賛同の意思を表明する中、JIPA代表として意匠委員会が採択を後押しする発言を行いました。
最終的に、規則第17条に国際公表時期の延長(12ヶ月)及び即時公表の修正及び第37条において効力発生日を2022年1月1日とすることが全会一致で採択され最終的な採択のためハーグ同盟総会の審議にかけられることが決定しました。 - コロナ禍の救済手段
新型コロナウイルスの影響等で、国際郵便の送達が遅れることで、書面の提出期限が過ぎてしまうような事態の救済措置として議場で検討がなされました。書面提出期限の延長などの措置が一時的になされていましたが、恒久的に救済を可能とするための修正案が米国より提案されていました。マドリッド条約やリスボン協定の改正と要件や効果などにおいて足並みを揃えるべきとの意見が特定の国より出されましたが、最終的には議長判断により米国提案を基にした修正案で採択し、ハーグ同盟総会で審議されることが決定しました。 - 新たな言語の追加
バーチャルな場での深い議論は難しいということで今回は議題より外れました。 - 料金の改定
次回以降に議題として取り上げられることとなりました。
国際公表時期の延長および即時公表制度の導入は前回の作業部会から日本ユーザとして力を入れて意見発信を行ってきたことから、本年の規則改正に繋がったことは非常に感慨深く大きな成果と考えております。これにより、製品発表前にハーグ経由で登録公報が発行されてしまう状況を解消するとともに、早期での侵害品の取締りが可能となるため、不都合を感じていた一定数の日本ユーザの悩みを解消できたのではないかと思われます。ハーグ制度の加盟国が年々増加し、本制度の利用価値が高まっていることから、引き続き日本ユーザの利便性拡大のため、本作業部会にJIPAから委員を継続派遣して意見を表明し、日本ユーザに資する制度を実現していきます。
- ハイブリット型での開催の様子
- JIPAメンバー参加の様子