国際活動

WIPO マドリッド作業部会(第18回)への参加

  • 会議風景
  • JIPA出席メンバー
 2020年10月12日(月)から16日(金)の間で、第18回マドリッド作業部会が開催されました。マドリッド作業部会は年に一度開催される国際会議で、国際商標登録制度に関するマドリッド協定議定書や同共通規則に関する課題の共有・規則改定等についての検討・議論が行われます。
 今回は、COVID-19の影響を受け、オンラインとオフラインのハイブリッド方式での開催となり、マドリッド協定議定書加盟国のうちの81カ国及び非加盟国17カ国の政府代表団や、3国際機関及び9商標関連国際団体が会議に参加しました。
 日本からは、特許庁商標課及び国際意匠・商標出願室の担当者らがオンラインで参加し、オブザーバーとして日本知的財産協会(以下JIPA)は事前のPosition Paperを提出のうえ、商標委員会の杉崎副委員長(武田薬品工業)及び藤井副委員長(バンダイ)の2名がオンライン参加し、齋藤(充)副委員長(SUBARU)が上述のPosition Paperを取り纏めました。
(Position Paperについては以下URLをご参照ください:
https://www.wipo.int/meetings/en/details.jsp?meeting_id=58508

 本年度は、「COVID-19対応に係る関連規則改正提案」、「非伝統的商標の国際出願を可能にする新しい表現方法に係る第9規則改正提案」、「部分代替に係る規則改正提案」及び「マドリッド制度への新言語導入提案」が議題に挙がり、いくつかの議題に対しJIPAからの意見発信を行いました。JIPAから述べた意見の概要は次の通りです。

  1.  非伝統的商標の国際出願を可能にする新しい表現方法に係る第9規則改正提案
    音、色彩のみ、ホログラム等のいわゆる非伝統的商標を国際出願する際には、商標のタイプの特定方法及び商標見本の表現方法の二点が大きな課題となっています。その課題を解決するための規則改正提案が国際事務局からなされました。その中の一つに、基礎出願/登録と国際出願との商標の同一性について、『同一』から『一致』へ規則上の文言を修正することが含まれていました。
     JIPAからは、「2015年以来主張してきた『基礎商標と国際商標の商標同一性の緩和』が改正規則に盛り込まれたことを歓迎する。当該修正案が日本ユーザーにとってマドリッド制度をより頻繁に且つ容易に使用できるようになることを期待する」旨を発言しました。
     作業部会において、若干文言を修正した今回の提案を、マドリッド同盟総会にて採択し、2023年2月1日付で発効することが推奨されました。今後は、出願商標の表示の認証に関する本国官庁の役割と指定国官庁における商標同一性判断における柔軟性について、議論を継続することになります。
  2. マドリッド制度への新言語導入提案
     現在、英語、フランス語、スペイン語が、マドリッド制度の手続言語として採用されていますが、中国語、ロシア語及びアラビア語をこれに追加するべきという提案が中国、ロシア語圏各国代表団及びアラビア語圏各国代表団からありました。国際事務局より、当該3言語を出願の際にのみ使用できる言語として取り急ぎ導入し、少なくとも5年間にわたる財務面及び実務面への影響を評価し、その結果を受けて次のアクションを検討するという提案がなされました。
     JIPAからは、「当該提案を支持する一方で、依然として当該3言語の導入による費用工数の増大と誤訳による権利範囲への影響を強く懸念している」旨を発言しました。
     本議題は、次回作業部会にて継続審議となりました。そして、次回開催前に、国際事務局と当該3言語に関わる各国官庁との間で、議論すべき点とその関連情報を改めて明確にして、作業部会において本議題が建設的になるよう、国際事務局に要請されました。

     次回の作業部会の議題は、暫定拒絶通報の応答期間及び当該期間算出方法について、従属性の緩和について、指定商品役務の限定について、新言語導入について等を予定しています。いずれも、日本ユーザーの関心が高い議題ですので、本作業部会にJIPAから委員を継続派遣し、日本ユーザーの意見を引き続き表明して参ります。

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