国際活動

台湾知慧財産法院との意見交換開催

 アジア戦略PJ法改正WGは、2019年11月14日 、日本台湾交流協会(以下、交流協会とする。)のご紹介で台湾知慧財産法院と意見交換を行った。 台湾知慧財産法院からは来日中の部長判事汪漢卿氏、判事張銘晃氏が参加され、交流協会からは、福村拓氏が参加した。JIPAからはアジア戦略PJリーダー吉原利樹氏 、同法改正WGリーダー岡本武蔵リカルド氏および同WGメンバー森岡悠太氏と事務局が参加した。

 冒頭、吉原リーダーより、JIPAの組織について説明を行うとともに、以前、台湾知慧財産法院への訪問にご対応くださったことに感謝が述べられた。
 その後、台湾の特許訴訟に係る実務、間接侵害、過失推定規定、損害賠償請求の要件、発明の実施態様等について幅広く意見交換が実施された。

 最後に、台湾知慧財産法院とJIPAとの交流は、友好的に継続しており、法院側としても外国のユーザーの声を聞けることは非常に有益であるとコメントがあった。 互いに、今後も交流を継続することを双方が確認した。
 意見交換の内容詳細は、主に、以下の通りである。

  1. 間接侵害
    JIPAとしては台湾専利法に間接侵害規定を盛り込むことを希望しているが、現状でも現行法の 枠内で間接侵害を認めた判決例がいくつかあると承知している。このような判決例を踏まえて、 権利者・同業者の立場で留意すべき点はとの質問に、間接侵害者に対して民法の共同不法行為で責任を追及するためには、主たる侵害者の存在、間接侵害者が主たる 侵害者の存在を認知していること、間接侵害者の製品が専用品であることなどを立証する必要がある、とのことだった。
  2. 専利法への過失推定規定の盛り込み 
    JIPAとしては台湾専利法に過失推定規定を盛り込むことを希望しているが、未だ立法化に至っていないところ、現状でも正当な理由が無く同業他社の専利権の調査を せずに侵害した者に対して過失を認めた判決例がいくつかあると承知している。このような判決例を踏まえて、権利者・同業者の立場で留意すべき点があるかについて、 過失推定規定が立法化されない背景として、台湾の企業が下請けの中小企業が多いという現状があり、中小企業に推定規定を覆す負担を強いる立法をするのは難しい。 ただ、権利者として、事前に警告書を送って、過失の推定を立証するような準備をしておけばよい、と説明があった。
  3. 損害賠償請求の要件としての専利番号表示
    JIPAとしては損害賠償請求の要件として専利番号表示を規定した台湾専利法98条の削除を希望しているが、現状でも専利番号表示が無い場合に、専利物件であることを 侵害者が知っていたこと又は知りえたことを広く解釈した判決例がいくつかあると承知している。このような判決例を踏まえて、権利者・同業者の立場で留意すべき点 をたずねたところ、特許番号の表示については、権利者が損害賠償額を立証する際の便益をもたらすが、権利者の判断で付さない場合は、その状況で侵害額の立証を行う 必要があることを承知してなければならない、と説明があった。
  • 汪部長判事と吉原リーダー
  • 全体写真
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