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国際活動
ライセンス委員会:イギリス・ドイツへの調査団派遣
ライセンス委員会では、日本の産官学連携について定期的に調査研究を行ってきたが、今回の取組みでは、近年のグローバル化の進展を鑑みて、海外における産官学連携の 動向や国際連携を行う際の留意事項等の知見を得ることを目的として現地でのヒアリング調査を実施した。特に、日本においてさくらツールと呼ばれる共同研究の契約雛形が 文科省から公開されたことから、同様に政府からの契約雛形がメンテナンスされているイギリスとドイツを訪問国として選択した。
イギリスでは、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS省)、英国知財庁(UKIPO)ケンブリッジ大学およびオックスフォード大学を訪問した。BEIS省およびUKIPOでは、 英国における産学連携成果としての知財の取扱いに対する考え方や産学連携に関する施策を中心にヒアリングした。英国では、公的な研究資金からの知的財産権は、 より幅広く社会的かつ経済的な利益につながるように大学の帰属とし、一方、産学間で合意した共同研究の知的財産権の分配は、各当事者の貢献によるものとしている とのことであった。また、英国では産学連携の動向に関する調査を頻繁に行っており、調査結果をまとめたレビューを公開するとともに、レビューの中で提言された 内容に基づいて施策の立案と遂行を行っているとのことであった。
ケンブリッジ大学およびオックスフォード大学とのヒアリングでは、大学内の産学連携に取組む組織、連携成果の取扱いに関する考え方、共同研究(委託研究がメイン) の条件を中心にヒアリングした。それぞれの大学において、産学連携に対する目的が異なること、成果の帰属は大学にあり、その利用についての条件(譲渡を含む)に 関しては比較的柔軟なオプションを用意していることが伺えた。
ドイツでは、連邦経済エネルギー省(BMWi省)、フラウンホーファ協会、ミュンヘン工科大学、Bayerische Patentallianz社(バイエルン州の広域TLO)、 ホフマンアイトレ事務所を訪問した。BMWi省では、ドイツにおける政府雛形の位置づけを中心にヒアリングした。ドイツでは、大学に関する成果を無償で 企業に譲渡することは競争法に反することになること、一方で、産学連携の成果はパートナー企業による独占実施が主流であることから、政府雛形においても その実情に従ったオプションを提供しているとのことであった。
フラウンホーファ協会では、企業ニーズに対して大学の知見をもってソリューションを提供するためのフラウンホーファ協会の仕組みやそこで得られた成果の取扱いを 中心にヒアリングした。ミュンヘン工科大学、Bayerische Patentallianz社では、大学内の産学連携に取組む組織、連携成果の取扱いに関する考え方、共同研究 (委託研究を含む)の条件を中心にヒアリングした。ホフマンアイトレ事務所では、ドイツの産学連携の経緯や統計情報等を中心にヒアリングした。
いずれの訪問先においても、各当事者の連携成果に対する取扱いの考え方や契約協議の際に譲れない条件の背景等、公開されている政府雛形等からは読み取れない情報を受けた。詳細については、会員に向けて報告を行う予定である。
なお、今回の訪問では、ホフマンアイトレ事務所に多大なサポートを受けた。この場を借りて感謝申し上げたい。
Photo Album
- 産業戦略省(BEIS省)、英国知財庁(UKIPO)
- オックスフォード大学
- 連邦経済エネルギー省(BMWi省)
- ミュンヘン工科大学
- フラウンホーファ協会
- ホフマンアイトレ事務所