国際活動

WIPO マドリッド作業部会(第16回)への委員派遣

 2018年7月2日(月)から6日(金)に、スイス・ジュネーブのWIPOにおいて第16回マドリッド作業部会が開催されました。このマドリッド作業部会は年に一度開催される国際会議で、 商標の国際登録制度に関するマドリッド協定議定書や同共通規則に関する課題の共有・規則改定等についての検討・議論が行われます。
 今回、マドリッド協定議定書加盟国のうちの55カ国及び非加盟国14カ国の政府代表団や、2国際機関及び10商標関連国際団体が会議に参加しました。日本からは特許庁商標課及び国際意匠・ 商標出願室の担当者らが参加し、オブザーバーとして日本弁理士会、日本商標協会および日本知的財産協会(以下JIPA)が参加しました。JIPAからは商標委員会の杉崎副委員長(武田薬品工業) 及び黄委員(本田技研工業)の2名を派遣しました。
 本年度は、「国内商標登録の国際商標登録による代替」、「国際商標登録の国内商標出願又は広域商標出願への変更」、「新しいタイプの商標及び新しい表現方法」、「国際商標登録の指定商品・ 役務の限定に関するアンケート回答結果」及び「中国代表団及びロシア連邦代表団による提案」が議題に挙がり、いくつかの議題に対しJIPAからの意見発信を行いました。
 JIPAから述べた意見の概要は次の通りです。
  1. 国際商標登録の国内商標出願又は広域商標出願への変更
     当該制度は、セントラルアタック(国際商標登録日から5年以内に、本国における基礎登録・基礎出願が拒絶、取下、放棄、無効、取消となった場合には、当該国際商標登録も取消されるという マドリッド協定議定書上の制度)による国際商標登録の取消の効果を緩和するものなのですが、ユーザー調査によると、十分に活用されていないことが判明しました。そこで、国際事務局から、 当該制度の活用を促す勧告(未導入加盟国への催促や実体審査の継続化等)の提案がありまして、合意を得られました。
     JIPAからは、「変更制度自体のユーザー認知度は実際に低いため、変更制度に係る締約国における規則・費用情報の詳細を、Madrid Member Profiles DBに積極的に開示するように、 国際事務局が締約国に促してほしい」旨を発言しました。
  2. 新しいタイプの商標及び新しい表現方法
    音、色彩のみ、ホログラム等のいわゆる新しいタイプの商標を国際商標登録する際には、‐ι犬離織ぅ廚瞭団蝓(法、⊂ι幻本の表現方法の二点が大きな課題となっています。
     JIPAからは、「ユーザーの利便性から、商標のタイプにかかわらず、国際商標登録出願が電子出願で行えることが望ましい」旨を発言しました。次回会合での審議に向けて、締約国官庁に対して、 自国が出願受理できる商標のタイプ及びその出願に係る表現方法についてのアンケート調査を行うこととなりました。同様の趣旨の提案は日本弁理会や商標協会からもあり、ユーザーの強い要望として、 国際事務局及び参加国に印象付けることができたと考えます。締約国間の通信システムの整備等課題も少なくありませんが、アンケート結果を踏まえて、引き続きユーザー視点による意見発信を行って参ります。
  3. 国際商標登録の指定商品・役務の限定に関するアンケート回答結果
     前回会合にて、国際事務局から、指定商品・役務の限定に関する審査の役割を明確化し、指定国官庁に限定の審査権限を付与する提案がなされましたが、国際商標出願に係る限定の審査は 本国官庁が行うべきという反対意見が相次ぎ合意に至りませんでした。そこで、締約国官庁とユーザーの現状を確認するためにアンケート調査が行われ、その結果を基にして議論が行われましたが、 今回も審査主体に関する意見の整合が取れませんでした。今後は、限定の審査における国際事務局の役割について、新たにアンケート調査を実施する予定となりました。
     JIPAからは、前回同様に、「指定国官庁での限定の審査が開始されることにより、審査の遅延と各国官庁対応費用の増加が懸念されるので、少なくとも国際商標出願時の限定は本国官庁が審査 するべき」旨を発言しました。今後のアンケート結果を踏まえて、引き続きユーザー視点による意見発信を行って参ります。
  4. 中国代表団及びロシア連邦代表団による提案
     現在、英語、フランス語、スペイン語が、マドリッド制度の手続言語として採用されていますが、中国語及びロシア語をこれに追加するべきという提案が中国及びロシア政府代表団からありました。
     JIPAからは、「中国語及びロシア語が導入された場合に、翻訳に係る工数・費用の増加が懸念される」旨を発言しました。他一部の締約国官庁及びユーザー団体から中国語及びロシア語の追加によって WIPOにもたらす工数や財政面等の影響を懸念しているという意見が出たこともあり、次回会合にて継続協議となりました。国際事務局において、前記の懸念点についてのレポートを作成することとなりました。

 来年度の作業部会本会議の議題は、暫定拒絶に対する応答期間のハーモナイゼーション、新しいタイプの商標及びその表現方法、中国及びロシア政府代表団による手続言語追加の提案、 従属性の期限を予定しています。特に、新しいタイプの商標や手続言語追加については、ユーザーの関心も高いと思いますので、本作業部会にJIPAから委員を継続派遣し、日本のユーザーの 意見を引き続き表明して参ります。

  • スイス ジュネーブ市街
  • WIPO外観
  • 会議風景
  • JIPA出席メンバー
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