国際活動

国際第2委員会:PCT-WG 11th Sessionへの委員派遣

 スイス・ジュネーブのWIPOにおいて、2018年6月18日から6月22日にかけて開催されたPCT作業部会(PCT-WG)に、JIPAは、今井国際第2委員長(栗田工業)、 佐々木国際第2副委員長(住友ベークライト)を派遣しました。
 このPCT-WGは、PCT総会に提案すべき議題を、加盟国の政府、国際機関代表、およびユーザ団体が一堂に会して事前に協議する国際会議で、2008年より開催され今年で11回目になります。
 今回のPCT-WGでは、例年通りPCT制度の将来の発展に向けた活動方針を中心に、現行制度が有する諸課題及びそれらへの取組に関する25の議題について、選任された議長 (オーストラリア特許庁Victor Portelli氏)の下、先進国・新興国・発展途上国、政府・国際機関・ユーザという制度に関わる全ての立場からの意見が聴取され、加盟国間での合意形成が図られました。

 JIPAは、PCT制度の適切な発展という視点から議論に参加し、第三者情報提供に関する議題について、第三者および出願人の負担減少を考慮したWIPOと各庁との連携強化への要望や、 IP5でパイロットプログラムを試行する国際協働調査に対し、対象言語の早期拡大と、パイロット後の費用に対する要望、および国際公開において提示される特許分類において日本のFIを含めることへの要望といったコメントを適宜表明しました。
 さらに今回は、近年激しく議論が交わされていた特定出願人に対する費用減免に関連する課題と、誤って提出された出願書類(Erroneously filed Parts and elements)について、優先権書類から補充/差し替えを許可する提案との2つの論点において、会期中に2つのWorkshopを行い議論の進展を図るといった試みがありました。
 JIPAは、この2つのWorkshopのうち、後者においてプレゼンテーションを行う機会をいただき、誤って提出された出願書類について、その救済の取組みは出願人に対するセーフティネット の拡大の観点からサポートできる一方で、第三者の観点から厳しい制限が必要であるとの主張を行いました。これらの主張について他のユーザ団体からのサポートがいただけたこともあり、その後のPCT-WGにおける議論においても進展がみられました。

 PCT-WGでは、先進国と新興国・発展途上国のいずれかに有利な改正案や、締約国の国内における特許性判断に関する権能に大きく影響を及ぼす改正案に対しては、激しく意見が 交わされました。しかし、意見の対立が一部であったものの、議長の素晴らしいチェアマンシップと各加盟国の建設的な姿勢により、PCT-WGは予定通りに全議題を議論して終了されました。特に今回同時期に開催されていたロシアW杯について議長が度々コメントすることにより、全体的に和やかな雰囲気で行われました。

 次回のPCT-WGは2019年の同時期に開催され、今回の議題の詳細を継続して協議する予定となっています。JIPAは、PCT制度の適切な発展に向け、今後も、世界から期待される ユーザ団体としての意見を表明していく予定です。

以上    

  • 議場の様子
  • JIPA派遣団(左から今井・佐々木)
  • 演台での発表
  • レマン湖
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