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国際活動
三極特許庁長官・ユーザ会合への参加報告
今回の会合は、宗像長官と近藤理事長が共同議長を務める形で議事が進められ、まず三極特許庁とWIPOから最近の活動状況等が紹介され、ひき続き以下の3つのトピックについての議論が行われました。
Topic 1:Substantive patent law harmonization
B+サブグループ(カナダ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、日本、韓国、スペイン、イギリス、アメリカ、EPOの各特許庁から構成されるグループ)においてすすめられている特許法における実体面での制度調和議論
(現在の検討対象項目は、グレースピリオド(日本における新規性喪失の例外規定)、衝突出願(公開前先出願における後願排除効)、先使用権)に関して、これまでの庁側及びユーザ側での検討状況を共有するとともに、
今後の三極ユーザ以外のステークホルダー関与の可能性や、本年開催予定のB+サブグループ会合への対応方針等について話し合いました。
なお本トピックに関しては、前日及び前々日に三極ユーザのみの会合を都内で開催し、より詳細な議論をすすめておりました。
Topic2:Examination practice of computer related inventions
JPOとEPOとの間で進められているコンピュータ関連発明(CII)に関する法令・審査基準や事例の比較研究についての紹介がなされ、USPTOからは現状は未参加ながら、同研究への参加を検討している旨の
コメントがありました。これを受けて三極ユーザ側からも、USPTOの当該研究への参加と比較研究の進展と結果の早期公開を要望しました。
更にJIPAからはCII審査のバラツキを小さくする観点から、各国の審査基準において共通事例の掲載を検討してはどうかとの提案をし、併せてデータ構造に関する特許性判断や、技術分野による審査バラツキ
についても留意が必要との意見を表明しました。
Topic3:Industry 4.0 and new technologies
本トピックは、「ユーザからのAIを活用した知財事業や事務の取組事例の紹介を受け、AIがユーザ側のビジネスソリューションに及ぼす影響についての認識を共有したうえで、庁側としてどのように産業を
支援できるかを考察したい」との庁側からの要請に基づき設定されました。三極ユーザ側からは、AIPLA、IPO、JIPAが各々の観点からプレゼンテーションを行い、AIPLAは第4次産業革命下における現行知財制度の
諸課題を概観し、IPO、JIPAは各々、現行知財関連業務における将来的なAI活用の可能性につき説明しました。なおJIPAの発表内容は、同マネジメント委員会における調査研究結果をもとにした内容で、
その詳細については今後、知財管理誌に掲載される予定とのことです。
ユーザ側からの発表を受け、庁側からは情報提供への謝意が述べられるとともに、AI新技術に関して、1)特許審査等にどう活用するか、2)この技術をどう保護するかという2つの側面についての検討が必要である旨、 また今後、審査官の付加価値は何かなどを考えていかなければならない等のコメントがなされました。
次回の三極特許庁長官・ユーザ会合は、来年(2019年)USPTO主催で米国での開催となります。
- 会合出席者 中央:宗像長官、近藤理事長