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国際活動
知財活性化プロジェクト: 日欧知財司法シンポジウム,欧州IPG、他への派遣
知財活性化プロジェクトでは2016/9/20〜28にかけ、櫻井副理事長(団長/鹿島建設)、大水常務理事(富士通)と事務局2名(含む欧州リエゾン)を、欧州にて開催された会議に派遣しました。会議は、当協会も後援している日欧知財司法シンポジウムと、本年に欧州地域に設立された欧州IPGとの会議になります。内閣府や関係省庁で検討している知財紛争処理システムの改革と、それに伴う企業経営者の知財意識の活性化に関係してそれぞれの会合に参加するとともに更に、以下のように訴訟専門の複数の法律事務所と会議を行い日本企業に必要な知財戦略、特に紛争に備えた戦略に関する情報を収集しました。
1.日欧知財司法シンポジウム(EPLAW Europe Japan Mock Trial)(パリ9/23)
パリのMaison Des Polytechniciensという技術系の最高峰の研修所にて、ドイツ、フランス、英国、日本の知財司法モックトライアルが行われました。各国とも判事・弁護士ともに法衣を着ており、英国では中世の音楽家がつけているようなカツラをつけて本番さながら様相でした。
検討テーマは、証拠収集に関して査察命令、証拠提出命令をどのように判事が下すのかを見せるものであり、判事・弁護士の間で議論して最終的な査察や書類提出命令における証拠の範囲の制限、証拠の閲覧可能者の制限等を議論しました。ケースも少し複雑なケースを採用しています。
具体的には、権利者側である原告企業が被告の内部資料の部分を推定して侵害主張するケースを取り上げ、推定部分は元被告企業の従業員が持ち出した営業秘密に依拠しており、この従業員や営業秘密情報の認識は伏せた状態で如何に収集すべき情報を特定してゆくかというものです。証拠提出命令や、査察を実行するまでの内容として、各国ともに、申請を受けて、事前準備として 技術的専門家の意見について裁判官も含めて議論し、必要性を検討して情報を特定し、閲覧可能者を特定するなど、相当の作業・判断を経て実行されることが理解できました。今後の知財紛争処理システムに関する当協会の意見策定に役立てることができます。
- 4ケ国の裁判官・弁護士
- UKの裁判
- 日本の裁判
- 会場入口
欧州IPG(2016年2月にJetroデュッセルドルフにて設立された日経企業の知財団体で欧州の知財問題を調査し情報共有等を行う)*、及びその参加企業の現地駐在員と、パリとロンドンにて
打ち合わせを行いました。欧州IPGの会議では、Jetroデュッセルドルフ事務所の中野知的財産部長にはパリで参加いただき、企業メンバーには当協会の会員企業である日立製作所、NEC、ホンダ、
リコー、JFEスチール、キヤノン、三菱電機の方にパリとロンドンにわかれて参加いただきました。
会議では、現在日本で起こっている知財紛争処理システム改革に関する今までの流れと現状、また6月に当協会が主催した「企業経営者向けグローバル・ビジネス・シンポジウム」の狙いと 内容及び開催状況を報告し、情報共有を図りました。インダストリー4.0活動が先行している欧州にあって日本の知財の興味が欧州の企業活動に向いていることなど、会員企業の駐在員には 新鮮な情報であるというコメントもいただきました。
(欧州IPG* :https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/europe/ip/data/ipg_kitei.pdf)
- 欧州IPGメンバー
- 欧州IPGメンバー
欧州を拠点として知財紛争を請け負っており、有識者や特定の評価団体から良い評価を得ている訴訟系の現地の4つの法律事務所との間で、日本企業の他国とのベンチマークなどを議論しました。
英国本拠地の事務所、ドイツ本拠地の事務所、フランス本拠地の事務所、グローバル(中南米、アフリカ)に強い事務所の弁護士と実施し、英国やフランスでは技術を取り扱うソリシタではなく、裁判や交渉を進めるバリスタの資格を持つ弁護士も入って議論させていただきました。仲裁・調停を含む訴訟手続きの違いや、バリスタの役割、欧州・中国企業と日本の知財組織の特徴の違い等、興味深い議論をさせていただきました。
- ベロン事務所(仏独)
- クリフォード事務所(仏独他)
- ミュウバンエリス事務所(英)
- ホフマン事務所(独)