国際活動

WIPO マドリッド作業部会(第14回)への委員派遣

  • スイス ジュネーブ市街
  • WIPO外観
  • 会議風景
  • JIPA出席メンバー

 2016年6月13日(月)から17日(金)に、スイス ジュネーブのWIPOにおいて第14回マドリッド作業部会が開催されました。このマドリッド作業部会は年に一度開催される国際会議で、マドリッド議定書や共有規則に関する課題の共有・規則改定等についての検討・議論が行われます。
今回、マドリッド議定書の加盟国(54カ国)・非加盟国(10カ国)の代表団や、14の国際機関及び関係団体が会議に参加しました。日本からは、日本特許庁、日本弁理士会、日本商標協会および日本知的財産協会(以下JIPA)が参加し、JIPAからは商標委員会の吉田(トヨタ自動車:写真右)、小林(シチズン時計:写真左)の2名を派遣しました。

 本年度も昨年に引き続き、日本企業にとって影響が大きい「従属性(セントラルアタック)」、「商標同一性の要件緩和」、「分割・併合制度の導入」(以下に詳細記載)が議題に挙がっていたため、日本企業ユーザーからの意見発信を行うことを目的として、JIPA商標委員会から委員を派遣しました。

JIPAから述べた意見の概要は次の通りです。
(1)従属性(セントラルアタック)
 国際事務局より従属期間の短縮が提案され、JIPAからも当該提案と同様の「セントラルアタック凍結が難しい場合、セントラルアタックの対象期間を5年から3年以下に緩和して欲しい」という具体的な要望を提案しました。反対派(欧州諸外国など)と賛成派(JIPA, 日本関係団体、その他諸外国等)とで、議論が白熱しましたが、昨年に比べて両者歩み寄る 意見も見られました。
 国際事務局からは、現実的な落としどころを意識しながら次年度以降も引き続き検討を進めていく旨のコメントがありました。

(2)商標同一性の要件緩和
 昨年に引き続き「商標同一性」の要件緩和を訴えるため、日本企業における課題・事例のプレゼンテーションを行いました。
 今年は各国特許庁の審査の紹介やユーザー団体からの改善要望の提案などがあり、各国の審査に多様性があることが判明したため、国際事務局において次年度の本作業部会までに「商標同一性」の審査に関するガイドラインを作成することとなりました。また、このガイドライン作成にあたって、上記プレゼンテーションにて提案した内容(アルファベットと 日本語からなる二段書き商標に基づきアルファベット部分のみの国際出願を可能とする等)についても反映する旨のコメントを国際事務局よりいただきました。

(3)分割・併合制度の導入
 マドリッド制度への国際出願の分割・併合制度の導入について、ユーザーの利便性向上のためのガイドラインやユーザーマニュアルの導入を要望しました。
 各国特許庁と国際事務局とで導入に関する課題や不明点についての質疑応答の後、導入に向けた具体的な共通規則案の検討が完了しました。今年10月に開催されるWIPO加盟国総会で合意されれば、マドリッド制度に分割・併合制度が導入されることとなります。

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