国際活動
第6回WIPO−PCTワーキンググループへ委員派遣
議場の様子
スイス・ジュネーブのWIPOにおいて、2013年5月21日から5月24日にかけて、PCTワーキンググループ(PCT-WG)が開催され、JIPAより太田 制度調和委員(積水化学)、永野 制度調和委員(パナソニックヘルスケア)、熊切 国際第2委員長(日立製作所)、及び吉岡 国際第2委員長代理(NEC)が参加し、日本産業界の意見表明を行いました。
このPCT-WGは、WIPO総会に提案すべき議題を、PCTの各締約国の政府・国際機関代表、およびユーザ団体が一堂に会して事前に協議する国際会議で、2008年より開催され、今年で6回目になります。
今回の会議では、将来のPCT制度発展に向けて、大きく二つの視点からの議論、(1)国際段階と国内段階との連携促進等、現状のPCT制度が抱える様々な課題を先進国・途上国、政府・ユーザの全ての立場からの意見を聴取し、その長期的な取り組みの方向性を取り纏める、(2)開発中の新PCT手続システムであるe−PCTや、PPHのPCTへの正式な統合等、現行PCT規則や運用における改善提案、について協議を行いました。
JIPAは、特許庁・ユーザ双方にとってメリットのあるPCT制度の適切な発展という視点から議論に参加し、特に(1)に関しては、現在検討が進められている、国際段階での否定的な成果物に対する応答の義務化に関して、審査の質向上の観点から支持はするものの、ユーザとしては、各指定官庁における国際段階の成果物の活用方法が統一されていない状況下での導入は出願人の負担が増えるのみである点、各指定官庁の特許性判断基準が異なる点等を指摘し、異なる国内法及び運用の下における導入について懸念を示し、議長サマリーにも明記されました。 また(2)に関しては、二国間による協定が複数存在する現状のPPH制度を踏まえ、現状のPPH制度によるユーザの利点が、将来的に、より簡素且つ低廉に利用可能となることへの期待を示しました。
本年の会合は、当初各国・各団体からも新たな提案がなされる等、建設的な議論がなされ、順調に終了するかと思われましたが、最後になって、途上国への技術支援等に関する議長サマリー内の表現に対して、複数の途上国からの発言があり、議論に時間を要しました。最終的には、WIPO事務局による修正案と、議長の強力なリーダーシップとにより、当初予定どおりの日程で終了することができましたが、PCT制度が抱える南北問題を垣間見ることとなりました。
次回のPCT-WGは2014年の同時期に開催され、今回の議題の詳細を継続して協議する予定となっており、JIPAからも今後とも、PCT制度の適切な発展に向けて、世界から期待されるユーザ団体としての意見を表明していく予定です。
会議に臨む JIPA delegation
サレーブ山からのジュネーブの眺望)