国際活動

商標委員会 第3回商標五極ユーザー会合への参加

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2012年10月31日、スペイン・バルセロナにおいて、日本・米国・欧州・中国・韓国による商標五極(TM5)ユーザー会合が開催されました。この会合は、2009年の第9回商標三極会合における議決に基づいて昨年商標領域では初めてのユーザー会合が日本で開催され、今回はその第3回目となります。各ユーザーと各極官庁との間で率直な意見交換や情報交換を行い、ユーザーフレンドリーとハーモナイゼーションを促進し、商標の制度や運用の改善につなげることを目的としています。

参加者は、各極官庁としては、JPO、USPTO、OHIM、KIPO及びSAICに加えWIPOの各代表が参加し、各極ユーザー団体としては、日本からJPAA、JTA、JIPAの三団体、米国からAIPLA、INTAの二団体、欧州からECTA、EFPIAの二団体、韓国からKPAAの一団体が参加しました。JIPAからは松平(筆者)が出席しました。

当日は、TM5が主催する以下のプロジェクトについてのディスカッションが行われました。

1.ID プロジェクト

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、USPTO IDプロジェクトとは、商標出願で指定する商品・役務の表示(ID)として参加庁間の審査において相互に受け入れ可能である商品・役務表示のリスト(IDリスト)を作成するもの。商標三極のIDリストを継承したもの。
TM5のメンバーのみならず、他の知財庁も協力覚書を結び参加している。現在の参加国は、カナダ、シンガポール、フィリピン、メキシコ、ロシア。

2.共通統計指標

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、SAIC、USPTO 共通統計指標とは、合意された共通の統計指標に基づき、各庁に関するデータについて、定期的にアップデートすること、また、共通の統計指標について検証するもの。

3.共通ステータス表示

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、SAIC、USPTO 商標情報の提供において、一般ユーザーに解りやすい商標の各案件の状態(出願中、登録、最終処分、等のステータス)の表示について、パートナー庁間で共通で使用できるものを検討。

4.悪意の商標出願対策プロジェクト

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、SAIC、USPTO 悪意の商標出願対策プロジェクトは、各庁の法令や運用等の情報交換や各庁が抱える問題点等の意見交換をすることを通じて、各庁において悪意の商標出願に関する知見を高めるとともに、問題解決に向けた実践を模索することを目的とするもの。

5.図形商標のイメージサーチ

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、SAIC、USPTO 図形商標のイメージサーチプロジェクトとは、図形商標の検索の負担軽減のため、イメージサーチシステムの導入が検討されているが、現在の検索精度は未だ図形商標検索に利用可能なものではないことから、イメージサーチシステムの開発促進のために、現状のシステムの課題を明確にすべく共同で研究するもの。

6.タクソノミーとユーロクラス

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、USPTO ユーロクラスとは、OHIMが保有する商標登録のための商品・サービスの分類ツール。商品・役務を分類付けするプロセスを容易にするため、参加庁から提供された分類データを統合していくもの。
タクソノミーとは、ニース分類をベースとした、商品・役務表示の新たな階層構造のことで、上位に広い概念、下位により具体的な表示の構成となる。
ユーロクラスにタクソノミーを導入することで、直ちに理解可能なサーチが提供される。つまり、ユーザーは分類ツリーに進むことで、それぞれのカテゴリー内に適切な表示を見つけることができる。
今後は、ユーロクラスのデータベースを拡充し、タクソノミーにユーロクラスと現状のIDプロジェクトを関連づける。

7.商標情報におけるユーザーフレンドリーなアクセス(TMビュー)

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、USPTO TMビューとは、OHIMが保有する、EU域内の登録商標の検索及び詳細情報の照会を一括して行うことができる検索ツール。OHIMがEU域内において共通の検索エンジンにより各庁の商標データベースにアクセスして情報を提供するもので、2010年4月に稼働した。このツールへの各庁の参加について検討を行うもの。

8.ウェブサイト

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、SAIC、USPTO
TM5で情報を共有すべきウェブサイトの構築

9.ユーザー会合

*参加庁:JPO、KIPO、OHIM、SAIC、USPTO
ユーザーとの意見交換を通じ、制度・実務等の改善に向けた検討を行うもの JIPAからは特に上記1「IDプロジェクト」に対して、共通の課題の有する上記6「タクソノミーとユーロクラス」との連携強化を図ることを要望するとともに、IDリスト化されていない商品・役務について、指定商品等や指定クラスの特定方法を各極が個別に判断するのではなく、母国の庁が窓口となり五極で話し合ったうえでその共通の態様を決定するような、連携して判断するスキームを構築してもらうよう働きかけを行いました。

なお、次回の商標五極TM5ユーザー会合は、2013年にKIPOにて開催される予定です。

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