国際活動
東北地方太平洋沖地震直後に、後ろ髪を引かれる思いで中国入りし、3月15日に北京、17日に上海において、それぞれ日中企業連携会議を開催しました。
この会議は、JIPA・その会員企業と、中国専利保護協会(北京)・その会員企業、並びに上海知識産権服務中心(上海)・その傘下企業との友好関係を築くことを目的として、2005年4月に日中企業連携知財フォーラムを上海で開催して以降、北京と上海にて年1回、企業の知財活動に関する共通の実務的課題についてプレゼンとディスカッションを行い、互学互習しましょうという趣旨で、継続実施しているものです。
本年度は、日中双方が大きな関心を持っている、「職務発明と発明評価・報奨」、および「知的財産権の活用」というテーマを取り上げて、以下のとおり、プレゼンとディスカッションを行いました。
第5回北京・日中企業連携会議
テーマと参加(発表)企業
■テーマ「職務発明と発明評価・報奨」
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■テーマ「知的財産権の活用」
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本年度は、中国側の要望を受け、従来方式とは異なり、一つの会議室にて、午前中に「職務発明と発明評価・報奨」を、午後に「知的財産権の活用」についてプレゼンとディスカッションを行うと共に、更に会員外のオブザーバ参加も認め、ディスカッションにも参加できる形式としたため、総勢120名という多数の参加者を得た。
冒頭、中国専利保護協会設立の立役者である王会長(元、中国国家知識産権局・局長)が挨拶をされたが、中国における知的財産面での目覚しい躍進に触れられると共に、今回の日本における大地震に対する心温まるお見舞いと励ましの言葉をいただいた。
今回の会議では、上表のごとく、中方は、昨年度までとは異なり、PCT出願の多いZTE(中興通迅)、華為(Huawei)のような大企業ではなく、中堅企業が発表を行ったが、これらいずれの企業も知的財産に関する関心が極めて高く、しかも内容の伴った活動を実施していることが感じられた。また、それぞれのプレゼンに対して、時間制限しなければならないほど数多くのディスカッションが行われた。
最後に、PPAC・鄭副会長(天津天士力集団)から講評があり、その後、日方リーダーを3年間務めた鈴木氏から、リーダーを退任するに当たっての挨拶と、後輩へのエール「桃李不言 下自成蹊」(「史記」より。【訓読文】桃李は言わざれども自ずから蹊(こみち)を成す 【現代語訳】桃や李は口をきいて人を招くことはしないが、良い花や実があるので人々が争って来て、結果として自然に小道ができる。転じて、徳のある人には自然に人が心服するという意味。これは徳のある人が自分から人集めの呼び込みをするわけではなく、自らを厳しく律することで、その人柄に惹かれた人々がついて来て、そして結果としてたくさんの人が集まる…という訳。)が送られた。
- PPAC王会長/開会挨拶
- 会場全景
- 職務発明チームプレゼン風景
- 知財権活用チームプレゼン風景
- PPAC鄭副会長/サマリー
- JIPA鈴木リーダー/閉会挨拶
第6回上海・日中企業連携会議
テーマと参加(発表)企業
■テーマ「職務発明と発明評価・報奨」
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■テーマ「知的財産権の活用」
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上海会議への参加中方企業は、上海地元の中小企業が中心で、特許出願件数はそれほどでもないが、意匠についてはかなりの出願をしている企業が多い。また、本年度は欧米外資系企業が3社参加したのが特徴的であった。
冒頭、上海知識産権局の蔡副局長(上海知識産権服務中心の責任者を兼務)が挨拶をされたが、上海知識産権局における知的財産施策、同地区の企業における知財活動について説明があると共に、今回の日本における大地震に対する心温まるお見舞いと励ましの言葉をいただいた。
その後、連携会議に入ったが、上海については、中国側の要望を受け、午前中は、上海電気集団中央研究院・%相蜥猿≠ノよる「職務発明訴訟」と東芝・宮内部長(JIPA常務理事)による「訴訟について」の、2つの基調講演が行われ、その後のディスカッションへの道標とした。
午後は、「職務発明と発明評価・報奨」と「知的財産権の活用」の、2つのグループに分かれて、従来同様のプレゼンとディスカッションを行ったが、中国側の知財意識、実務レベルが大きく向上したこともあり、時間のやりくりに苦労するほどの活発なものとなった。
最後に、上海市知識産権研究会・陳会長から講評をいただき、その後、日方の鈴木リーダーから、北京と同様のエールの言葉が後輩に対して送られた。
- SIPO蔡副局長/開会挨拶
- 会場全景
- 氏・基調講演
- 宮内常務理事/基調講演
- 職務発明チーム議論風景
- 知財権活用チーム議論風景
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上海市知識産権研究会
陳会長/講評 - JIPA鈴木リーダー/閉会挨拶