国際活動

第2回WIPO- PCTワーキンググループへの委員派遣

PCT出願における国際段階でのサーチと国内段階でのサーチの重複削減を目的として、2009年5月4〜8日、ジュネーブのWIPO国際会議場にて、第2回PCTワーキンググループ(以下、PCT-WG)が開催された。今回の会議では、各国代表(69カ国)、政府機関代表(8所)およびNGO代表(14所)等から総勢約140名の参加があり、JIPAからは、三極ユーザ会議PJから、内藤PJリーダー(パナソニック)と太田委員(積水化学)が参加した。

同PCT-WGは、前身となるPCTリフォームWGの後を受け、2008年よりPCTの実務的な問題を検討する場として開催されており、今回の主な議題は、上記サーチの重複労力を削減するべく、如何にPCTの改善を図るかという改革案について、WIPO事務局案、およびこれに関連してJPO、USPTO、KIPOから改革案が提出され、協議を行なった。

しかしながら、同議題の趣旨について、JIPAを含む先進国ユーザーからは支持する旨が表明されたものの、途上国代表からは「重複労力の削減が国内段階における国際調査結果の受け入れ、ひいてはこれが途上国に不利な制度調和につながる」との認識から、反対意見が表明された。これに対し、WIPO事務局より、途上国の誤解を解くよう同案の意義や背景が説明されたが、途上国側の反発は収まらず南北問題といった政治的な議論に発展し、議論は最初から紛糾した。

数日にわたる議論の結果、先進国と途上国間で、「制度調和を目指すものではないこと、途上国の開発支援を行なうことなどの条件付でPCT改革案の検討を慎重に進める」という合意は得られたが、本来であれば実務面での議論を行なう場での事態に、今後の進行に懸念が残るものであった。

 

なお、PCT-WG会合とは別途、JIPAからWIPO事務局に、08年度国際第2委員会による「国際調査の分析結果」、「現状の問題点(国際調査より国内段階の審査が厳しくなる割合など)」を報告し、国際調査の質向上がユーザーにとって重要であり、WIPO事務局の改革案を支持することを直接伝えた。
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