「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 6号 / 743頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | わが国の進歩性の審理判断に関する若干の考察 |
著者 | 篠原勝美 |
抄録 | わが国においては、知財高裁の設立以降、最高裁が発明の進歩性について踏み込んだ判示 をする例はまれであり、近時、「予測できない顕著な効果」について正面から判示したアレルギー性 眼疾患治療薬(オロパタジン点眼薬〈パタノール®〉)事件の最高裁令和元年8月27日判決・裁判所時 報1730号1頁(以下「本判決」という)は、その貴重な実例である。無効審判の手続中に訂正を重ね、 何度も特許庁、知財高裁および最高裁の間を行き来した特異なケースであるが、原判決を破棄して知 財高裁に差戻した本判決には種々検討すべき問題が含まれている。進歩性の判断における「予測でき ない顕著な効果」の位置付けやその判断手法、確定した取消判決の拘束力などの実定法上の論点のほ か、医薬用途発明の権利化や知財紛争の処理の在り方、さらにはパテントリンケージの在り方という 根本的な問題もある。こうした点について本判決を題材に若干の素描的な考察をする。 |
本文PDF |