「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 5号 / 676頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 504) |
論文名 | (No. 504) 用途発明における「用途」と 新規性の判断及び「実施」該当性の判断─「IL-17産生の阻害」事件─ |
著者 | 東崎賢治 |
抄録 | 知財高裁平成31年3月19日判決(平成30年(行ケ)第10036号)は、引用文献に記載された 「Th1誘導によるT細胞刺激を阻害する」という用途と、本件特許発明の「T細胞によるIL-17産生を 阻害する」という用途との相違を認め、新規性を肯定した。この判断は、同一の疾病の治療につなが り得るものであっても、「用途」の同一性を否定することにより、細分化された「用途」についても、 新規性を肯定するという近時の傾向に沿ったものである。このように「用途」が細分化された特許権 を行使する場合には、用途発明の「実施」に当たることを特許権者において主張・立証しなければな らない。すなわち、原則として、当該細分化された「用途」に使用するものであることを特定して製 造販売する場合に限って当該用途発明の「実施」に当たると解されるのであって、被疑侵害品の用途 が当該細分化された「用途」を含むだけでは、用途発明の「実施」に当たるわけではないことに留意 が必要である。 |
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