「知財管理」誌

Vol.64 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 64巻(2014年) / 3号 / 377頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No.433)
論文名 No.433 審決取消訴訟における前訴判決の拘束力 -液体吸収性廃棄物袋事件-
著者 岩坪 哲
抄録  審決取消訴訟において原審決が取り消された場合、法181条2項の規定による差し戻し審においては行政事件訴訟法33条1項に基づく拘束力が働き、同条2項により、再度の審決においては判決の趣旨に従い、改めて裁決(審決)をしなければならない。本件判決は、不服審判請求不成立審決(進歩性を否定)を取り消した前訴判決の拘束力は主引例と副引例の入れ替えにより進歩性否定のロジックを変更した差し戻し審の審決には及ばないとしたものである。主引例と副引例の差し替えに関し、拒絶査定と異なる主引用例を引用して判断しようとするときは出願人の防御権を奪う特段の事情が無い限り法159条2項にいう「査定の理由と異なる理由を発見した場合」に該当し、同条に基づき法50条が準用されるとするのが知財高裁の裁判例だが1)、本件判決にも出願人(特許権者)の防御権を奪う不意打ち審決の防止という観点が加味され、これは侵害訴訟における法104条の3の適用にも関連する。本稿においては、法29条2項の要件事実をどう捉えるかという視点から、前訴判決の拘束力と当事者の防御権の保障についての私見を述べたい。
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