「知財管理」誌
Vol.62 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 62巻(2012年) / 7号 / 909頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 機能的クレームによる侵害を認めた事例 |
著者 | 岩坪哲 |
抄録 | いわゆる機能的クレーム論とは、クレームが機能・作用的に記載されており明細書の開示 を超えた独占権を求めるものとの理由で、明細書の発明ないし考案の詳細な説明に記載された範囲で 限定解釈に付される解釈論である。機能的クレーム性が争われた事案に関連する一連の裁判例の特徴 は、「実施例限定」あるいは「実施例から当業者が認識できる技術的思想」に技術的範囲を限定する クレーム解釈の下、結論として請求を棄却するものであった。しかるところ、本件は、従来の裁判例 理論に沿ってクレーム文言に限定解釈を施しつつも特許権侵害の成立を認めたものであり、この種の 事案では初めての認容事例と思われる。本稿では従来培われてきた機能的クレームに関する裁判例理 論を分析して限定解釈の契機となる「機能的クレーム」の属性及びその場合の具体的解釈論を論じ、 本判決の位置づけを明らかにする。併せて機能的クレームの技術的範囲と均等論における本質的部分 との関係等、関連問題について私見を述べることとする。 |
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