「知財管理」誌
Vol.62 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 62巻(2012年) / 12号 / 1713頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.416) |
論文名 | No.416 進歩性判断における周知技術の認定 |
著者 | 原田智雄 |
抄録 | 本件は、審決における周知技術の認定、および周知技術を用いた進歩性欠如の判断の妥当 性が争われた事件である。 本判決ではまず、引用発明に本願発明の課題・解決手段の開示・示唆はないから、引用発明に周知 技術を適用することによって本願発明を想到することは容易とはいえない、とした。また周知技術の 認定に当たって、特定の引用文献の具体的な記載から離れて、抽象化、一般化ないし上位概念化をす ることが当然に許容されるわけではない、と判示した上で、審決で周知技術とされた事項は、周知例 1〜3の具体的な記載内容を超えており、周知技術として認定できない、と判断した。 本判決は、進歩性を否定するための引用発明を認定するに当たって、技術常識や周知技術であって も、客観的かつ具体的に認定されるべき、という旨を強調しており、今後の進歩性の判断において、 ある技術的事項を技術常識や周知技術とする安易な認定に一定の歯止めをかけることが期待できる。 |
本文PDF |