「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 9号 / 1407頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.331) |
論文名 | No.331 サポート要件違反の場合の実験成績証明書の非参酌 |
著者 | 植木久一、菅河忠志 |
抄録 | 近傍値に特化した4つの実験データのみに根拠づけられるパラメータ発明に関し、明細書の実験データからはパラメータ発明はサポートされていないとし、このパラメータの技術的意義を裏付けるべく後日提出された実験成績証明書を参酌することなく、サポート要件違反として特許庁がした特許取消決定を維持した事例。 本件事案の出願当初明細書の記載、並びに事後的に提出された実験成績証明書を見る限り、これらを許容できないという判決はこれに同意する。しかし本件の事案は相当に特殊な明細書例における判決である。化学発明はしばしば実証科学の分野に属するとの認定下に実施例重視の視点から判断されるが、化学発明の理論性にも十分な配慮が払われるべきであり、データとクレームの広・狭のバランスについて、本件事例の判決が、明細書の記載要件についての一層厳しい運用をいたずらに後押しする形にならないことを切望する。 |
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