「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 9号 / 1343頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 意匠法上の「視覚性」についての画期的判決―意匠審査基準における肉眼観察限定認識手法について― |
著者 | 藤本昇 |
抄録 | 意匠法2条は、「意匠とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と定義している。すなわち、意匠は物品の美的外観を保護するものであって、視覚に訴えるものでないものや、視覚に訴えるものと認められないものは意匠を構成しないものである(意匠法3条1項柱書)。しかるに、「視覚に訴えるもの」の意義については意匠法の文言からは必ずしも明らかではないが、特許庁の意匠審査基準によると、「視覚に訴えるものとは肉眼によって認識することができるものをいう。」と規定されている。 しかしながら、今般、知財高裁において、「物品の取引実情を考慮して物品の取引に際して、肉眼観察が通常であるのか、あるいは拡大観察が通常であるのかを基準として視覚性の登録要件を判断すべきであり、一律に肉眼によって認識することが出来るものに限定して解釈することは、意匠法3条柱書き、2条1項の解釈を誤った違法がある。」と判断した画期的な判決が言い渡された。 本稿は、この画期的な判決を基に「意匠法上の視覚性」について論説するとともに実務上の影響について論及するものである。 |
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