「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 7号 / 1051頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.329) |
論文名 | No.329 共有者の一部による特許審決取消訴訟の提起と共同訴訟参加 |
著者 | 柿内瑞絵 |
抄録 | 本件は、特許を受ける権利の共有者の一部により提訴された審決取消請求の事案である。 審決取消訴訟が共有者全員による提訴を要請されている固有必要的共同訴訟であるか否かについて、現在、法律の規定はない。この点につき、古い最高裁判例は全て固有必要的共同訴訟であるとの判断をしたと解されたが、最近の最高裁判例は固有必要的共同訴訟とする範囲を限定し、特許等が設定登録された後の異議取消審判、無効審判に関する審決取消訴訟において、共有者の一部による提訴を許容する。 本判決は、従来の最高裁判例の法理論を踏襲し、特許権の設定登録前である拒絶査定不服審判の拒絶審決に対する審決取消訴訟において、共有者の一部が欠落した訴えの提起は不適法であり、瑕疵があるとした。しかしながら、この欠落した共有者が出訴期間経過後に共同訴訟参加申立をした等の事情をふまえ、瑕疵の治癒を肯定しており、本判決においてこの点が最も注目される判断である。 |