「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 5号 / 705頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | ライセンス契約の安定強化に向けて―ライセンサー倒産の問題を題材に― |
著者 | 松田俊治 |
抄録 | 現行法の下、ライセンス契約の安定性を脅かす最大のリスクは、ライセンサー倒産の問題である。ライセンス契約を巡っては、ライセンサーが倒産した場合に、何ら落ち度のないライセンシーが、法制度上、契約解除の不利益を被り、その事業活動の中止を余儀なくされ得るという問題点が従前から指摘され、新破産法改正時の議論で取り上げられた。しかし、新破産法は、実務の期待に反し、対抗要件を具備した者だけが保護されるという保護策を採用した。この保護策は現在の知的財産法制及び実務と齟齬しており、ライセンシーは、ライセンサー倒産のリスクに直面し続けている。この問題の終局的な解決は知的財産法制の整備・充実等に委ねようと議論されたが、新破産法施行後1年以上が経過するにもかかわらず、未だこの問題の立法による解決はなされておらず、実務は対応に苦慮している。本稿では、まず新破産法の内容とその問題点を検討し、リスクマネジメントの観点から、現行制度下において実務が採用しうる対応策を検討する。そして、この問題の抜本的解決に向けた法改正の必要性について提言する。 | 本文PDF |