「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 4号 / 595頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 中国職務発明制度についての一考察(その1)―日本との比較を中心に― |
著者 | 銭孟サン、長沢幸男(監修) |
抄録 | 中日両国の職務発明制度は、基本骨格としての権利帰属の原則が異なっているものの、実務上、同様の問題も抱えている。中国の職務発明制度は、発明の奨励、使用者と発明者間の利益調整という制度目的を、十分に実現しているとはいい難い現状にある。この原因として、職務発明制度を含めた知的財産制度の理解が十分浸透しておらず、また、合理的な報酬の計算が実務的に困難であるという、実務上の問題がある。合理的な報酬額を巡って、中国の判例は集積がなく、算定方法が確立していないことから、今後、中国でも日本と同様に、職務発明を巡る紛争が増加する可能性がある。このような中国の状況にあって、報酬額の算定基準を法令により定めることが一部行われているが、中国における多様な単位の特徴に応じた、合理的報酬の支払を実現するためには、法令の画一的基準や、単なる外国制度の導入ではなく、職務発明制度を含む、知的財産制度の利用と浸透を図る他はない。 | 本文PDF |