「知財管理」誌

Vol.56 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 56巻(2006年) / 1号 / 115頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No.324)
論文名 No.324 先使用における事業の範囲
著者 松本司
抄録 原告は、その保有する特許権に基づき、被告に対し装置の製造、販売等の差止め及び損害賠償を求めたのに対して、被告は、該製品の発注者に、先使用に係る通常実施権が成立すると主張して、発注者の先使用権を援用した。本判決は先行品の製造業者には製造に係る先使用権は成立するとしても、販売業者には、製造業者と同一の先使用権を認めることはできないとして、被告の主張を排斥し、原告の請求を認容した事案である。製品につき、製造、販売等の事業協力がある場合でも、その具体的な協力関係によっては、一部の者に先使用権が成立していても、他の者は該先使用権の援用を主張できない場合がある。先使用権の及ぶ範囲を十分に検討する必要がある。
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