「知財管理」誌
Vol.56 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 56巻(2006年) / 12号 / 1851頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許出願のサポート要件と補正・分割の適法性要件との関係に関する考察 |
著者 | 大町真義 |
抄録 | 特許法36条6項1号に規定されるサポート要件と、特許請求の範囲の補正や出願分割の適法性要件とは、趣旨は異なるものの、請求された発明と開示との関係を規律する要件であって、発明の「記載」の有無という観点から判断がなされるという意味では、共通点を有し、両者には交錯が生じうる。近時、我が国でサポート要件が特許請求の範囲の記載要件として確立したことにより、上記の交錯が潜在的な矛盾をはらんで現出しつつある。しかも、我が国におけるサポート要件は、欧州特許制度におけるそれとは異なる面を有しており、上記交錯がもたらしている緊張関係は、我が国特許制度において、より大きい問題であるといえる。本稿は、問題の所在を明らかにした後、関連した裁判例や審査基準を検討するとともに、比較法的考察も行い、そのうえで、かかる交錯が矛盾を生じないようにするためにはどのように考えるべきか、その方向性について5案を提示する。 | 本文PDF |