「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 3号 / 379頁 |
論文区分 | 特集(訴訟・紛争関係の諸課題と今後の対応) |
論文名 | 特許法第35条の改正と企業の対応 |
著者 | 萩原恒昭 |
抄録 | 職務発明の企業への譲渡対価を巡り、近年訴訟が頻発し、企業にとって予期しない高額の判決が続いている中で、特許法第35条の見直しが行われ、「特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案」に組み込まれて、第159回通常国会において可決成立した。改正された特許法第35条は平成17年4月1日より施行される。 特許法第35条の改正のポイントは、「職務発明の企業への譲渡対価は企業が一方的に定めることができず、最終的には裁判所が判断する」と判旨したオリンパス訴訟の最高裁判決を受けて、使用者と従業員間での相当の対価決定のための自主的な取り決めを可能な限り尊重することを趣旨とし、具体的には対価の決定のための基準の策定における使用者と従業者の協議の状況等の手続きを重視し、そのようにして定められた対価の支払いが不合理でなければそれば尊重されるとしたことにある。 企業はこの改正を受けて職務発明の取り扱いを定めた社内規定の見直しが喫緊の課題となっており、特許庁発行の「手続き事例集」や当協会が会員向けに作成した「新職務発明制度に基づくガイドライン」などを参考に必要な改定を検討、実施している。ここでは、社内規定を制定・運用する上で考慮すべき主な事項を列挙して、具体的な考え方を示し、あわせて今後のわが国における職務発明のあり方について述べる。 |
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