「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 2号 / 143頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 米国裁判事情-知財留学体験を通して- |
著者 | 阿部隆徳 |
抄録 | 米国の裁判制度及びその運用に携わる人々は日本とは全く異なり、以下の特色を有する。将来の人材育成機関たるロースクールでは、実務的な授業メニューが豊富に用意され、ソクラテスメソッドを用いて学生にローヤーのように考えさせる訓練を施している。裁判官・弁護士が教えることも多く、同僚判事の判決を授業で批判するというオープンさがある。米国人が大切と考えている陪審制度は特許裁判においては評判が悪い。弁護士のみならず専門家証人までもが陪審員を魅了する技術を磨いている。外国人差別や印象に頼る評決といった問題もあり、対策として模擬裁判が発達してる。弁護士は弁論により裁判官を説得する技術に長けており、傍聴していてドラマチックである。ローファーム間の競争は熾烈で、合併を盛んに行い競争力を高めている。裁判官は判例法の国であるため法の創造者であり、政策遂行の役割を担っている。また自分の意見を通すため、裁判官間で日常的に戦争をしている。裁判所によって訴訟の早さが異なるが、兎をポリシーとするロケット・ドケットに対して、亀をポリシーとする最高裁の違いもある。 | 本文PDF |