「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 11号 / 1565頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 米国特許法改正の動向について―プロパテントからの揺れ戻し― |
著者 | 紋谷崇俊 |
抄録 | 米国において、特許法を抜本的に改正しようという動きが、過去にも増して強まっている。2005年6月8日には、第109回国会において特許法の改正法案(The Patent Act of 2005)が下院に提出された(H.R.2795)。これは、米国特許法の特徴だった先発明主義を先願主義に移行するとともに、米国特有のベストモード(best mode/最良実施態様)、不公正行為(inequitable conduct)及び懲罰的損害賠償等における主観的な特許要件を撤廃/制限し、更には、今まで米国にはなかった異議制度を導入するといった画期的な内容を含む。現段階ではこれら個々の条項の成否については予断を許さない状況であるが、今回の一連の改正の流れにおいて注目すべきことは、米国において、プロパテント政策からの揺れ戻しとも言える動き(即ち、必ずしもプロパテント政策自体を正面から否定するものではないまでも、その行き過ぎを是正しようという動き)が見受けられるという点である。本稿においては、政策的観点から、現在の米国特許法改正の背景及び改正法案の概要等を分析する。 |