「知財管理」誌
Vol.53 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 53巻(2003年) / 3号 / 443頁 |
論文区分 | 特集(産学連携) |
論文名 | 大学における職務発明制度 |
著者 | 玉井克哉 |
抄録 | 職務発明に関する最近の裁判例は、従業者の対価請求権が法律で保護されていることを根拠に、使用者への特許権等の帰属を緩やかに認めようとする傾向がある。しかし他方、従業者の対価請求権について裁判所が独自に認定することに加え、権利移転後の事情に照らして金額を算定するため、対価の額を予め確定しておくことは、不可能に近い。国立大学が法人化した後はこうした制度が全面的に大学に適用されることとなる。しかし、最近の裁判例が取る緩い解釈の下でも、学生などについては、大学が一元的に権利の帰属主体となることには限界がある。また、対価金額の算定が困難なことは、大学にとっては大問題である。これらの点を考えると、職務発明制度については、立法によって対価金額を定額化するなど、予測可能性を高める方向での解決が、大学にとっても強く望まれる。 |