「知財管理」誌
Vol.53 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 53巻(2003年) / 3号 / 405頁 |
論文区分 | 特集(産学連携) |
論文名 | 私立大学の技術移転活動からみた産学連携に関する課題 |
著者 | 清水啓助 |
抄録 | 私立大学のTLOと国立大学のTLOとでは、その活動範囲や機能が若干異なっている。私立大学のTLOは大学に帰属する発明を特許化し、技術移転を行っている。一方、国立大学は法人格がないため、株式会社等のTLOを設立し、研究者個人に帰属する発明を対象として活動を進めている。私立大学のTLOは大学の予算で運営されるため、国立大学のTLOのような会員制度はない。TLOはその活動を通じて、産学の連携に関する様々な課題に直面してきた。共同特許出願契約において大学が不実施機関であることについての理解が希薄であること、実施契約において第三者の権利を侵害した場合に損害の補償を大学に求めてくること、大学と企業の貢献の度合いが共同研究契約に反映されにくいこと等である。こうした問題は、産学が長い冷戦期間を終えて新しい連携を築くため、産と学がお互いの立場を理解する過程で生じている問題である。これらの課題を乗り越え産学の連携活動を活発化させることにより、学生に刺激を与え、大学はチャレンジ精神に溢れる場となる。 |