「知財管理」誌

Vol.53 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 53巻(2003年) / 1号 / 69頁
論文区分 判例と実務シリーズ
論文名 No.291 国内優先権の主張等を伴う特許出願に基づく分割出願
著者 板谷康夫
抄録 本件特許は、国内優先権の主張を伴う特許出願を親出願として成された分割出願から、さらに分割を2回重ねた分割出願に係り、分割出願時に優先権主張の旨の記載がなかったために出願日が遡及せず、特許異議申立ての証拠をもとに特許法29条の2の規定により特許取消とされ、その取消請求をしたにも拘わらず、請求が棄却された。平成11年改正の特許法44条4項の新設により、改正法以降の出願ではこのような事件は発生しなくなるであろうが、改正前の出願について、本事件のように、法44条2項のただし書きが一律に杓子定規に解釈・運用され、かかる瑕疵を治癒できないとするなら、監督官庁のいうユーザフレンドリーとは程遠いものになっていると危惧し、関係者に一考の余地を期待するとともに、知財業務に携わっている者に留意を喚起するものである。
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